就業促進定着手当はどんなときもらえるの・手続きは?

就業促進定着手当とは、再就職手当を受給
した人が対象となります。
再就職後の給与が下がってしまったときに、
その減収分を手当として受給できるという、
たいへんありがたい制度です。
ここでは、就業促進定着手当の受給額や
受給の要件などについて詳しく説明します。
就業促進定着手当が受給できる人
次の条件に該当する人が対象となります。
・再就職手当を受給している
・再就職手当を受給した再就職の日から,
同じ事業主に引き続き6か月以上雇用され
ていること
・再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、
離職前の賃金日額を下回ること
要するに、再就職手当をもらい、その就職先
の6か月分の給与が前の会社より下がっていれば
もらえるということになります。
就業促進定着手当はいくらもらえるの?
受給額の計算式
受給できる額は、次の計算式で求めます。
(離職前の賃金日額 - 再就職後6か月間
の賃金の1日分の額) × 再就職後6か月間の
賃金支払基礎となった日数
ここで求めた金額を「仮の就業促進定着手当」
と私は呼んでいます。
そのわけは、後にでてくる支給限度額を超え
ると、その支給限度額が就業促進手当となる
からです。
だから、ここでの計算結果にはあまり期待を
しないでください。
ややこしいな! と思ったかもしれませんが
大丈夫です。
順番にしていけば簡単に計算できます。
計算式の中の項目を順番に見ていきましょう。
離職前の賃金日額とは
下の雇用保険受給資格者証を見てください。
赤枠で囲っている「14 離職時賃金日額」
が離職前の賃金日額となります。
ただし、離職前の賃金には年齢によって
上限額と下限額が設定されていますので、
離職前の賃金日額を次の表に当てはめます。
賃金日額が上限を超えた場合や下限を下回
った場合はその額を計算式に当てはめて
計算します
上限額
離職時の年齢 | 上限額 |
29歳以下 | 13,630円 |
30歳~44歳 | 15,140円 |
45歳~59歳 | 16,670円 |
60歳~64歳 | 15,890円 |
下限額
全年齢共通 2,500円
※上記金額は令和元年8月1日~
令和2年7月31日適用
再就職後6か月間の賃金の1日分の額 の計算
再就職後6か月間の賃金の1日分の額
の計算方法は月給と日給・時給で異なります
ので注意が必要です。
ここで計算した金額が先に説明しました離職
前の賃金日額より少なくないと、就業促進
定着手当を受給することができません。
<月給の場合>
再就職後6か月間の賃金の合計額÷180
<日給・時給の場合>
次の①⓶で計算した額の高い金額となります。
①再就職後6か月間の賃金の合計額÷180
②(再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷
賃金の支払いの基礎となった日数)×70%
※計算式にあります賃金の合計額とは、税金
(所得税・地方税)や社会保険(健康保険・
厚生年金保険・雇用保険)などを控除する前
の金額です。
通勤手当や皆勤手当などの手当を含みます。
受給できる限度額
支給額の上限は次のように計算します。
支給限度額=A基本手当日額×支給残日数
× B(40% 又は 30%)
A 基本手当日額の上限額
離職時年齢が60歳未満の人
6,165円
離職時年齢が60歳以上65歳未満の人
4,990円
B 再就職手当の給付率が
60%だった人は 40%
70%だった人は 30% になります。
計算例
わかりやすくするため計算例を用意しました。
事例
山田一郎さん 40歳
再就職 7月
再就職手当を受給
再就職後の賃金 28万円(月給制)
離職前の賃金日額 14,000円
順番に見ていきましょう。
離職前の賃金日額 14,000円
(上限額の15,140円に収まっていますので、
そのままの金額を使います。)
再就職後6か月間の賃金の1日分の額は
9,333円
計算式
再就職後6か月間の賃金の合計額÷180
(28万円×6か月)÷180=9,333円
再就職後6か月間の賃金支払い基礎日数
184日
月給制なので7月~12月の暦日数の合計
は184日
受給額=(離職前の賃金日額 -
(再就職後6か月間の賃金の1日分の額)
×再就職後6か月間の賃金の支払基礎と
なった日数
にあてはめます。
858,728円 = ( 14,000円 -
9,333円 ) × 184日
計算上の就業促進定着手当は 858,728円
となりますが、
これは、仮の就業促進定着手当なのです。
なぜなら、仮の就業促進定着手当と、今から
計算する上限額を比較します。
上限額より低ければ全額支給となりますが、
上限額よりも高い場合は、上限額が支給額と
なるからです。
受給できる限度額
支給限度額=A基本手当日額×B支給残日数
× C(40% 又は 30%)
A基本手当日額は「雇用保険受給資格者証」
の表面の19欄に記載されている金額を確認
してください。
基本手当日額の上限額
基本手当日額は年齢で上限があります。基本
手当日額が次の上限額を超えている人はこの
上限額で計算します。
年齢上限額
離職時年齢 | 上限額 |
60歳未満 | 6,165円 |
60歳以上65歳未満 | 4,990円 |
B支給残日数は「雇用保険受給資格者証」
裏面の処理状況欄の最後の失業認定を受
けた後の日数を確認してください。
その日数が支給残日数となります。
C30%または40%のどちらになるかのは
再就職手当の支給率で違ってきます。
再就職手当支給率 | 支給限度額計算% |
70% | 30% |
60% | 40% |
山田一郎さんのデーターは次のとおりです。
基本手当日額 5,954円
受給残日数 55日
率 40% (支給残日数3分
の1以上残して再就職したので再就職手当
の支給率は60%)
支給限度額の計算式に当てはめましょう。
5,954円×55日×40%=130,988円
支給限度額が 130,988円 に対し
先ほど計算した仮の就業促進定着手当は
858,728円 なので
支給限度額の130,988円を就業促進定着手当
として受給することになります。
仮の就業促進定着手当を計算したときには、
こんなにもらえるんだと期待した人も
限度額を知ってガッカリされたかもしれま
せん。
でも、少しでも受給できてよかったと前向きに
考えていただけるとありがたいです。
申請手続
ハローワークから「就業促進定着手当」の
支給申請書が再就職手当の支給決定通知書
と一緒に送られてきますので申請を行って
ください。
申請書類
・就業促進定着手当支給申請書
・雇用保険受給資格者証
・就職日から6か月間の出勤簿のコピー ※
・就職日から6か月間の給与明細又は
賃金台帳のコピー ※
※就職後最初の賃金締切日より後の6か月分
申請期間は原則2か月
再就職した日から6か月を経過した日の翌日
から2か月間
2か月の申請期限を経過してしまった場合
原則2か月の申請期限はありますが、現在は
2年の時効が設定されていますので、再就職
した日から6か月を経過した日の翌日から
2年を経過する日まで申請できます。
申請先
再就職手当の支給申請をしたハローワーク
(郵送での申請もOK)
まとめ
就業促進定着手当とは、再就職手当をもらい
その就職先の6か月分の給与が前の会社の
賃金より少なければもらえる手当。
就業促進定着手当の計算式
(離職前の賃金日額-再就職後6か月間の
賃金の1日分の額)× 再就職後6か月間
の賃金の支払基礎となった日数
支給限度額がある
上記の計算結果が上限額より低ければ全額
支給となりますが、上限額よりも高い場合
は、上限額が支給額となる。
申請
ハローワークから「就業促進定着手当」
の支給申請書が送付されるので、再就職
した日から6か月を経過した日の翌日
から2年を経過する日まで申請する
ことができる。
前にも書きましたが、あまり期待しすぎると
ガッカリします。
でも、期待していなかったボーナスが出ると
思って、再就職手当を受給して対象となる人
は申請してください。
最後までお読みいただきありがとうございます。